自由の感触
去年、髪の毛を赤く染めた。ついでに眉毛も、赤いアイシャドウで描くようにした。
髪型はベリーショートのツーブロック。左に3つ、右に2つピアスがあいている耳がいつも丸出しの状態だ。
そんな外見なので、よく初対面の人に「お仕事は何をしてらっしゃるんですか?」と聞かれる。
バンドをやっているとか、アパレルとか、美容師だと思われることが多いけれど、そのどれでもなく、私は個人事業主だ。
私の場合、「よし、個人事業主になるぞ!」と意気込んでなったわけではない。
友人に誘われて始めた仕事が、たまたま業務委託という形式をとったものだった、というだけだ。
あれからもうすぐ4年が経つけれど、フリーランスという名前はあまり使ったことがない。
だって、あまりにもかっこよすぎる。
意志が強くて、個性がとがっていて、いつも前を見て走っている。フリーランスとは、そういう人がなるものだと思っていた。
けれど、今ならわかる。フリーランスは、特別な人だけが得られる称号のようなものではなくて、単なる働き方のひとつなのだ。
生物という大きなくくりの中に、哺乳類や魚類や鳥類がいるのと同じだ。
陸で生活していたけど、私、空を飛ぶのが得意かも! と思ったら、鳥になる。
海の中で泳ぐの大好き! と気づいたら、魚になる。
そんなふうに心の赴くまま、場所を選んで生きていくことができたら、それは自由ということなのだと思う。
私だって、明日羽が生えてくるかもしれないし、えら呼吸ができるようになっているかもしれない。
そんな不安定さを怖がるのではなく、楽しむことができたら、最高なんじゃないだろうか。
ひとまず当面の目標は、職業を聞かれたときに、さらりと「フリーランスです」と言えるようになることだ。
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